夏はシャワーだけで済ませる夜に、湯船を選び直すという工夫
眠る1〜2時間前に40℃ほどの湯にゆっくり浸かると、寝つきまでの時間が短くなったと研究で報告されています。夏はシャワーだけになりがちな夜にこそ、短い入浴をひとつの区切りとして選び直す工夫をご紹介します。
大暑を迎え、一年でいちばん暑さの深まる頃になりました。こんな季節は、夜のお風呂もつい「夏はシャワーだけ」になりがちですが、テキサス大学オースティン校の研究チームがまとめた2019年のメタ分析では、眠る1〜2時間前に40℃ほどの湯にゆっくり浸かった場合、寝つきまでの時間が平均でおよそ10分短くなり、眠りの満足感も高まったと報告されています。汗ばむ季節にこそ、湯船に浸かるという選択肢をもう一度、そっと考えてみる価値がありそうです。
少し不思議に聞こえるかもしれません。暑い夜に温かい湯へ浸かることが、なぜ眠りと関わるのか。研究チームは、入浴でいったん温まった体が、そのあと手足から熱を逃がしながらゆるやかに深部の温度を下げていく、その下り坂が眠りへの合図になるのではないかと考えています。つまり湯船は体を温めるためというより、そのあとに訪れる「冷めていく時間」への扉なのだそうです。眠る直前ではなく、1〜2時間前という間合いが勧められているのも、この下り坂を待つためです。
夏の湯船は、ぬるめに短く
とはいえ、真夏の長湯はかえって体に負担をかけてしまいます。私たちがおすすめしたいのは、40℃ほどのぬるめの湯に10分だけ、と決めてしまうこと。湯の量を胸の下あたりまでにして、浴室の灯りを少し落とせば、10分は思いのほか長く、そして静かです。石けんの香りが湯気にほどけていくのを、ただ眺めている。それだけで、昼間のざわめきと夜とのあいだに、一本の細い境界線が引かれていくのを感じられるはずです。
湯上がりの余白まで、入浴だと考える
湯から上がったら、急いで何かを始めずに、冷めていく時間をそのまま味わってみてください。コップ一杯の水をゆっくり飲み、火照りが引いていくのを待つ。その3分ほどの余白に、手首へ好きな香りをほんのひと纏いさせるのも、私たちの好きな過ごし方です。体温が下り坂に入るのと同じ速度で、心も少しずつ夜のほうへ傾いていきます。シャワーが「済ませる」ための時間だとしたら、湯船は「区切る」ための時間なのかもしれません。
花を束ね、香りを選ぶ仕事をしていると、美しさとは結局、心地よい時間の過ごし方のことではないかと思う瞬間があります。10分の湯船と、そのあとの小さな余白。それは誰に見せるためでもない、自分のための静かなリチュアルです。今日のどこかに、静かな祝福が咲いていますように。
Questions
- 夏もシャワーだけでなく湯船に浸かったほうがいい?
- どちらが正しいということではありませんが、研究では就寝前の温かい入浴が寝つきやすさと関わると報告されています。暑い季節は40℃ほどの湯に10分ほど、短めに浸かるだけでもひとつの区切りになります。
- 寝る前のお風呂は何度くらい、何時間前がいい?
- 2019年のメタ分析では、40℃前後の湯に眠る1〜2時間ほど前に浸かった場合に、寝つきまでの時間が平均でおよそ10分短くなったと報告されています。熱すぎる湯や長湯は避け、心地よさを目安になさってください。
安全にお楽しみいただくために
- 夏の入浴は汗をかきやすいため、入浴の前後にコップ一杯の水分補給を
- 長湯やのぼせにご注意ください。めまいを感じたらすぐに湯から上がって休息を
- 飲酒後や体調のすぐれない日の入浴はお控えください
- 本記事は一般的な情報のご紹介であり、医療行為・診断・治療に代わるものではありません。
- ご使用中に肌や体調の異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師にご相談ください。
References
参考文献・出典
Author
Tomoyo Michishita
Maison Élanique Inc. 代表。愛に美しいかたちを与えるメゾンとして、 花と香りの傍らで綴っています。