冷房で乱れがちな自律神経を、ベルガモットの香りで整える
照りつける日差しの中を歩いてきたかと思えば、次の扉を開けた途端、冷房の効いた空気に包まれる。夏のあいだ、多くの方が一日に何度もこの温度差を行き来しています。この繰り返しが、自律神経を静かに疲れさせていることは、案外知られていません。
香りが自律神経に働きかける、ということ
私たちが日々扱う香りの一滴にも、こうした乱れにそっと寄り添う力があります。なかでもベルガモットは、柑橘のみずみずしさとほのかな苦味を併せ持つ香りとして、古くから心を落ち着けるために用いられてきました。渡辺氏らの研究チームは、41名の健康な女性を対象にした実験で、ベルガモット精油の香りを15分間吸入すると、心身を鎮める働きを持つ副交感神経の活動が高まり、唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)の値が下がったと報告しています。冷房と外気を行き来する身体にとって、これは大変良い知らせではないでしょうか。
難しいことをする必要はありません。お昼休みからデスクに戻った午後、ハンカチにリフレッシャーミストを数プッシュし胸元にそっと添える。三分ほど目を閉じて、細く長く息を吐くことだけに意識を向ける。それだけで、冷えきった肩からわずかに力が抜けていくのが分かります。
香りは、整えるための「間」をつくる
忙しさに追われる日々のなかで、自律神経を意識する時間はどうしても後回しになりがちです。けれど、香りを介したこの短い間だけは、誰にも急かされることがありません。私たちは、香りとはただ心地よいだけのものではなく、自分自身に戻るための小さな”間”をつくるツールだと考えています。
一輪の花に水をやるように、今日という日の自律神経にも、ひとさじの香りを届けてみる。それは大げさな儀式ではなく、日々のなかにそっと置く、ごく私的なリチュアルのひとつです。今日のどこかに、静かな時間が寄り添ってくれますように。
参考:Watanabe E, Kuchta K, Kimura M, Rauwald HW, Kamei T, Imanishi J.(2015)「Effects of Bergamot (Citrus bergamia (Risso) Wright & Arn.) Essential Oil Aromatherapy on Mood States, Parasympathetic Nervous System Activity, and Salivary Cortisol Levels in 41 Healthy Females」Forschende Komplementärmedizin/Research in Complementary Medicine誌