Céléjour
暮らしのこと

汗ばむ夏の部屋がひんやり見える、色を選ぶという涼のつくりかた

冷房の設定温度をひとつ下げる前に、部屋を涼しく見せる色を選ぶという方法があります。同じ気温の部屋でも、赤や橙に囲まれていると人は暖かく感じ、青や緑に囲まれていると涼しく感じる──色にはそうした働きがあると、いくつもの研究が報告しています。今日はその小さな仕組みと、暮らしに取り入れる具体的な工夫についてお話しします。

色が体感温度を変えるという研究

色相と体感温度の関係は「色相-温度効果」と呼ばれ、長く研究されてきました。2024年に発表された研究では、色の彩度や明るさが上がるほど、その色はより暖かく感じられることが示されています。裏を返せば、彩度を抑えた青や緑、灰みがかった色は、同じ室温でも視界に涼しさを添えてくれるということ。エアコンの効きが悪い部屋、日差しの入る窓辺、そうした場所ほど、この色の力を借りる価値があります。

涼を呼ぶ色の選び方

難しく考える必要はありません。まずは目に入りやすい場所からひとつだけ、色を変えてみること。クッションカバーやテーブルランナーを、彩度を落とした水色や淡いセージグリーンに替える。飾る花の色を、赤や黄からラベンダーやブルーグレーへ。枯れる心配のないアーティフィシャルフラワーであれば、季節ごとに色だけを気軽に入れ替えられるのも、小さな利点かもしれません。3分もあれば、玄関やデスクの上、いちばん視界に入る一点を変えられます。

見た目が変わるだけで気温そのものが下がるわけではありません。けれど、目に入る景色がひんやりとしていれば、そこで過ごす時間の感じ方は確かに変わります。私たちは、花や香りを通じて、そうした小さな知覚の余白を届けたいと考えています。涼しさもまた、我慢するものではなく、静かに整えるもの。今日のどこかに、静かな涼が訪れていますように。

参考:Hammond BR, Gardner CR, Wooten BR, Renzi-Hammond L.(2024)「Increasing intensity directly increases the perceived warmth of primary colors」Scientific Reports