夏の冷房で頭が重くなる日は、ペパーミントをこめかみに一滴
冷房の効いたオフィスと、外の強い日差し。その寒暖差を一日に何度も行き来するうち、頭痛とまではいかなくても、こめかみのあたりに重さを覚える——そんな夏の午後を過ごしている方も、少なくないのではないでしょうか。私たちは、そんな瞬間にこそ、頭痛薬に手を伸ばす前に、香りを一滴使うという小さな対処法をお伝えしたいと思います。
ペパーミントの香りと、緊張型の頭重感
ドイツの神経内科医ハルトムート・ゲーベル氏らの研究チームは、ペパーミントオイルを希釈した液体をこめかみと額に塗布する実験を行い、緊張型頭痛を抱える被験者において、プラセボと比べて有意に痛みが和らいだと報告しています。その効果は鎮痛薬に匹敵するほどだったとも言われ、香りが単なる気分の問題ではなく、生理的なはたらきを持つことを示す研究として知られています。
忙しい日中でも、やり方はいたって簡単です。ホホバオイルなどのキャリアオイルで薄めたペパーミントを一滴、指先かガラス棒に取り、こめかみにそっとのせる。冷たさとすっきりとした香りが鼻から額へと抜けていく感覚が、こわばった意識をゆるめてくれます。会議の合間、パソコンの画面から目を離した一瞬、それだけの時間で構いません。
ただし、力のある香りだからこそ、心得ておきたいことがあります。原液のまま肌にのせず、必ず希釈してお使いください。目や粘膜に触れさせないこと、肌が敏感な方は事前に二の腕の内側などでパッチテストを行うことも大切です。乳幼児や小さなお子様の顔まわりには使用を控え、妊娠中・授乳中の方、てんかんなどの持病をお持ちの方は、お使いになる前にかかりつけの医師や専門家にご相談されることをおすすめします。
香りは、痛みや不調を消し去ってしまう薬ではありません。けれど、立ち止まって深く息を吸うきっかけを、そっと差し出してくれる道具ではあります。冷房と暑さのあいだで揺れる夏の日々のなかで、一滴の香りに手を伸ばす時間を持つこと——それもまた、自分を整えるリチュアルのひとつなのだと、私たちは思っています。
参考:Göbel H, Schmidt G, Soyka D.(1994)"Effect of peppermint and eucalyptus oil preparations on neurophysiological and experimental algesimetric headache parameters" Cephalalgia, 14(3), 228-234.