Céléjour
香りのこと

鈴蘭の香りが「幸福の再来」と呼ばれる理由

フランスには、5月1日に大切な人へ鈴蘭を贈る「ミュゲの日」という習慣があります。受け取った人には幸運が訪れるとされ、街角には一日だけ、鈴蘭を売る小さな露店が並びます。

鈴蘭の花言葉は「幸福の再来」。長い冬が終わり、森の木陰にいちばんに顔を出す白い花は、昔から「戻ってくる幸せ」の象徴でした。うつむくように咲く小さな釣鐘は、声高ではないけれど、確かにそこにある祝福のかたちをしています。

興味深いのは、鈴蘭の香りの多くが「記憶の中の香り」だということ。鈴蘭は精油がほとんど採れない花のため、調香師たちは何十年もかけて、この花の香りを再現しようとしてきました。つまり鈴蘭の香りとは、誰かが思い出しながら描いた、幸福の記憶のスケッチなのです。

Céléjourが鈴蘭をブランドのモチーフに選んだのは、この花のあり方が、私たちの届けたいものそのものだから。大きな出来事ではなく、日々の中に静かに戻ってくる小さな幸福。今日がどんな一日でも、部屋の片隅の白い花が、それをそっと思い出させてくれますように。